毎年この時期になると、新作のための制作モードに否応無しに追いまれていく自分がいるのですが、慌しい日常の思いっきり現実生活モードにドロドロと浸りきっている中から、まるで芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のカンダタのように、引っ張り上げていくためにはかなりのエネルギーが必要なのです。傍目には決してわからない地獄から天国への糸を手繰る時、いかに邪念を振り払うかが勝負なので、それはもう、大変なのです。一歩間違えればそれこそ手元で糸はぷつりと切れ、あっという間に地獄へ逆戻り。元の木阿弥状態へ・・・・。そんな時必ずふと、立ち寄るのが「資生堂アートハウス」です。ここはまさに地獄に仏。ささやかな非日常空間が、さり気なく自分を包み込んでくれ、インスピレーションの世界へと誘ってくれるのです。絵画、彫刻、工芸、現代美術等々日本はもとより世界の逸品が、ふんだんに観られるのです。本当に優れた作品というのは、いつ観ても変わらない感動を与えてくれます。それこそ不変的な力が静かに輝いています。昨日も、仕事のついでに立ち寄りましたが、まさしく「名品コレクション」の名にふさわしい展覧会でした。~3月29日まで。
