仏教発祥の地とも言えるパキスタンガンダーラ地方。そしてアフガニスタンなどその周辺、さらにはバーミヤン遺跡と、一連の仏教美術は、そのほとんどが彫刻中心でした。その風体はまさにギリシャ彫刻そのもの。およそ日本の仏像とはかけ離れた端整な面立ちに、やや違和感を感じながら観ていました。が、逆に日本国内ではあまり見られない仏陀の摩耶の右脇の下から誕生する場面などが物語として制作されており、興味深かった。さらにインド~中国を経て日本に到達するこの途方もない時間とそれぞれの国ごとに変貌する仏教・仏像の姿に驚きながら、改めて仏教の懐の深さのようなものを感じたひとときでした。また、バーミヤン遺跡のとてつもない大きさと拡がりに、西アジアの「大陸」を思い知らされました。
